公認心理師2018年9月試験CBT模擬試験
2018_09_076
19歳の女性A。Aは高校卒業後に事務職のパート勤務を始めた。もともと言語表現は苦手で他者とのコミュニケーションに困難を抱えていた。就職当初から、仕事も遅くミスも多かったことから頻繁に上司に叱責され、常に緊張を強いられるようになった。疲れがたまり不眠が出現し、会社を休みがちになった。家事はこなせており、将来は一人暮らしをしたいと思っているという。WAIS-Ⅲを実施した結果、全検査IQ77、言語性IQ73、動作性IQ86。群指数は言語理解82、知覚統合70、作動記憶62、処理速度72であった。
この検査結果の解釈として、正しいものを1つ選べ。
①視覚的な短期記憶が苦手である。
②聴覚的な短期記憶が苦手である。
③全検査IQは「平均の下」である。
④下位検査項目の値がないため判断できない。
正解:②
この事例問題では、自閉スペクトラム症が疑われる女性のWAIS-Ⅲの解釈について問われています。同様に自閉スペクトラム症が疑われる場合のテストバッテリーでWAIS-Ⅲを選ぶ問題(問137)がありました。
① 視覚的な短期記憶が苦手である。
視覚的な短期記憶は、符号問題の処理速度で測定されるが、Aの群指数の中で処理速度が相対的に低いということはない。よって、誤りである。
② 聴覚的な短期記憶が苦手である。
聴覚的な短期記憶は、数唱問題の作動記憶で測定される。Aは4つの群指数の中で作動記憶が最も低く、最も高い言語理解とは20も差があることから、聴覚的な短期記憶は苦手といえる。よって、正しいものとして選択できる。
③ 全検査IQは「平均の下」である。
全検査IQの知能水準の分類では、「平均の下」は80~89を指す。70~79は「境界線」を指し、69以下を「精神遅滞」とする。よって、誤りである。
④ 下位検査項目の値がないため判断できない。
下位検査項目の値がなくても、3つのIQ、4つの群指数からさまざまなことが読み取れることから、ある程度結果を解釈することは可能である。よって、誤りである。