公認心理師2018年12月試験CBT模擬試験
2018_12_033
高齢期に関する理論とその理論が重視する高齢期の心理的適応の組合せについて、誤っているものを1つ選べ。
①活動理論 ― 中年期の活動水準を維持すること
②離脱理論 ― 社会的活動から徐々に引退すること
③老年的超越論 ― 物質的で合理的な世界観を捨て、宇宙的な世界観を持つこと
④社会情緒的選択理論 ― 情緒的安定のために他者からの知識獲得を行うこと
⑤補償を伴う選択的最適化〈SOC〉理論 ― 喪失を補償すべく領域を選択し、そこでの活動を最適化すること
正解:④
① 活動理論 ― 中年期の活動水準を維持すること
活動理論とは、サクセスフルエイジング(幸福な老い)に関する研究において提唱された理論で、年齢に関わらず活動する水準を維持することが、理想的な老い方と考える。この組み合わせは適切であるため、誤っているものとして選択できない。
② 離脱理論 ― 社会的活動から徐々に引退すること
離脱理論もサクセスフルエイジングに関する研究の中で提唱された理論であり、高齢になるにつれ、社会活動から徐々に手を引いていくことが、理想的な老いと考える理論である。この組み合わせは適切であるため、誤っているものとして選択できない。
③ 老年的超越論 ― 物質的で合理的な世界観を捨て、宇宙的な世界観を持つこと
老年的超越論とは、高齢になるにつれ高まるとされており、物質的で合理的な世界観を捨てて、宇宙的、超越的、非合理的な世界観を持つようになるという理論である。この組み合わせは適切であるため、誤っているものとして選択できない。
④ 社会情緒的選択理論 ― 情緒的安定のために他者からの知識獲得を行うこと
社会情緒的選択理論とは、人生の残りの期間が限られてくると、幸せや喜びといった情緒的に満足できる活動に注力するようになるという理論である。この組み合わせは誤りであるため、誤っているものとして選択できる。
⑤ 補償を伴う選択的最適化(SOC)理論 ― 喪失を補償すべく領域を選択し、そこでの活動を最適化すること
補償を伴う選択的最適化(Selective Optimi zation with Compensation)理論とは、高齢者の適応に関する概念であり、加齢によって資源が小さくなっていった場合、限られた資源は目標達成のために使用される(最適化)という考えである。以上から、この組み合わせは適切であると思われるため、誤っているものとして選択できない。なお、同じようにSOCと表される概念が他にもあり、これは首尾一貫感覚(Sence Of Coherence)と呼ばれる。首尾一貫感覚は、ストレス対処に関する理論であり、有意味感、把握可能感、処理可能感から構成される。